その「エンジニア採用」が不幸を生む は今年最後のヒット本になりそうだ。
その「エンジニア採用」が不幸を生むという本が話題になっていたので気になっていたところ、@gothedistanceさんが
僕が今までご恵投頂いたエンジニアのキャリア本で「ベスト」の一冊です。
と総評されていたのでもうこれは読まねば!ということで読んでみたので、その感想を書いていきます。
@gothedistanceさんの書評↓
gothedistance.hatenadiary.jp
自分も転職を控えているので、転職がプラスになるといいなぁ、というのもあって読んだのですが、
結論としては、この本はヒットしない方がおかしい、
そう言わざるを得ないくらいいい本でした。
その「エンジニア採用」が不幸を生む ~良い人材を見つけ、活躍してもらうには何が必要か?
- 作者: 正道寺雅信
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2016/12/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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どんな本なの?
実際にあった?いくつかのエンジニア採用の失敗事例を元に、
- 採用されるエンジニア
- 採用する人事担当者
- 採用する会社の経営者
のそれぞれの視点から、なぜ失敗したのか、どうするべきだったのか、というのを
解説していく本です。
採用の失敗事例が実に生々しく、鬱になりそうな失敗事例もあったりと、色々な意味で面白い本です。
エンジニア採用の経験が豊富な著者が書いているので、実に理路整然かつわかりやすくなっており、パラパラと読める上にちゃんと頭に入ってきます。
対象読者
この本は、対象読者は以下の4つを想定しています。
- ITエンジニアを採用・雇用する企業経営層
- ITエンジニアを採用・雇用する採用・人事部門の方
- ITエンジニアを初めて採用・雇用しようとしている中小企業の経営者
- 転職を考えているITエンジニア
ですが、読んでみると実に色々な事例があり、
ITに関わるなら誰でも読むべき本かもしれません。
強く共感した箇所
Aクラスの人は、Aクラスの人と仕事をしたがる。Bクラスの人は、Cクラスの人と仕事をしたがる
これは、Bクラスのエンジニアはより下のレベルのエンジニアを採用することで相対的に自分の評価が上がると思い、面接の結果を故意的に変えた、という事例で紹介された、シリコンバレーのIT企業での言葉です。
Bクラスの人は、自分の採用したエンジニアが自分の上司になるとか競争相手になることを避けるため(自己保身)自分よりレベルの高い人は敬遠したがるのです。
シリコンバレー、そして昨今は日本でもIT企業の面接の時に現場のエンジニアとやり取りする機会もあるため、現場ののエンジニアもにもこういった戒めが必要である、と書かれています。
スキルがある人を歓迎する風土がある企業は、伸びると思います。逆にスキルがある人を歓迎しない風土の企業はいつか落ちます。
なぜなら、成長させられるエンジニアを使わないため、技術が停滞してしまうのです。
そして、その成長させられるエンジニアはより成長出来る環境を求め、転職してしまうのでなおさら成長するチャンスを失ってしまうのではないかと思います。
大切なのは会社の視点から、を会社の技術力が向上すること、会社の利益となるかということを考えながら採用することだな、と思いました。
それはそのまま転職を考えるITエンジニアにも、スキルを要求することになるのですがこれについては後ほど書きます。
自分の経験と照らし合わせて
本書では、「エンジニアの人事評価はエンジニア以外の人がやることは難しい」と書かれています。
今、ユーザー企業の情報システム部門にいるのですが、エンジニアリングの評価、という項目は一切ありません。
バグだらけでメンテナンスもできないコードを書くエンジニアもバグも少なくメンテナンスもしやすいコードを書くエンジニアも評価は同じです。
じゃあ、何やれば評価されるの、というと勤続年数による評価だったり、社内の検定に合格などだったりします。
エンジニアリングで評価されないので、エンジニアは殆どやる気ありません。日々の仕事をこなすだけ、という感じです。
ですが、これは本業はITとは関係ない、ITエンジニアからみればいわゆるユーザー企業だからです。
こういった本業はITとは関係ないユーザー企業の情報システム部門の役割は大抵の場合設計、もしくはシステムの要望をまとめて外注、とそういったエンジニアリングではなく調整の業務が多くなります。
そのためエンジニアをどう評価すればいいのかもよくわからない、という状態になっています。だから評価もできない、という感じです。
自分の場合仕事がなくてお金が必要だった、という事情があってそういったものを覚悟した上で入社していたので別に良いんですが、他にまともなエンジニアがいない=目立てる!評価される!というのは間違っている可能性もある、と言うのはこの本で気付かされました。
評価されないからそもそもエンジニアがいつかない、ということは頭に入れていきたいなと思います。
合わせて読むならどの本がお勧めか?
間違いなく、オレオレブックオブザイヤー(なんだそりゃ)のSoftSkillsです。
- 作者: ジョン・ソンメズ,まつもとゆきひろ(解説),長尾高弘
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2016/05/20
- メディア: 単行本
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SoftSkillの書評は↓
stonebeach-dakar.hatenablog.com
転職を考えている人なら、まずその「エンジニア採用」が不幸を生む<を読んでみてください。
なぜ転職するのか、キャリアアップするためにはどういう会社に入れればいいのか、と言うのを感じてください。
そして、○○という会社に入りたい!や○○という条件がある会社に入ろう、という気持ちが固まれば、
SOFT Skillsを読み、業界における自分の価値を向上させるためのテクニックを取得してください。
最後に
自分が本当に入りたい、エンジニアとして業務に集中できる環境を手に入れるためにはダラダラ怠けているだけでは手に入れるのは厳しいと思います。
エンジニアとして集中できる環境なら、そこはAクラスのエンジニアが多いでしょう。そしてAクラスエンジニアはAクラスエンジニアと働きたいと考えています。
そこにBクラスでしかない人が応募しても、エンジニアが一緒に働きたくないな、と思えば採用されません。Aクラスの人が一緒に働きたいな、というエンジニアにならなければなりません。
・・・と、自分への自戒の意味も込めて、書いてみました。
スキルで人を見るのはどうなの、なんて思われる方もいるかもしれませんが逆にスキルがある人からすればスキルがあっても見た目が悪いとかで採用されない、という人もいるということは忘れないようにしてください。
結局、採用されるかされないかは採用担当者、社長の考え方によるので、採用される側があーだこーだ言ったところでしょうがないのかな、と思いました。