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「呉下の阿蒙にあらず」をモットーにしたITエンジニアの日々

闘うプログラマーは評価が分かれそうな本だった。

読書 日記 Windows

闘うプログラマーという本を読みました。
正直、とても評価が難しい本です。

どんな話か

1980年台、MicorosoftのWindowsNTというオペレーティングシステムの開発を舞台として、
どのようにしてWindowsNTが作らられていったかを「人」に焦点を当ててストーリーが流れていく。
登場人物はWindowsNTに関わる開発者だけではなく、Microsoftの経営陣から管理職、そしてそれらの家族も登場する。

登場人物

WindowsNT開発に関わった様々な人がこの本には出てきますが、特に印象深いのはこの4人です。

デヴィッド・カトラー

本書の主人公。DECという会社で社内政治によってプロジェクトを潰され、
失意のうちにビル・ゲイツMicrosoftに引き抜かれた「伝説のプログラマー

尚、2016年現在もMicrosoftに在籍しており、Microsoft Azureの開発に携わっているらしい。
性格は非常に難があるが、プロ中のプロと呼ばれる。

デヴィッド・カトラー - Wikipedia

ビル・ゲイツ

ある意味、本書のもう1人の主人公かも知れない。
生い立ちから、学生時代のMS-BASICの開発、そしてプロプライエタリ・ソフトウェアが生まれたきっかけを作った男。

ある意味、この人がいたからプログラマーが仕事として成り立つようになったとも言える。
本書ではMicrosoftの社長としての登場シーンが多いが、第2章ではメインの扱い。

ビル・ゲイツといえば、金の亡者と言われることも多いが、
本書ではものすごく印象に残る言葉があったので引用します。

優秀なエンジニアと一緒に仕事をして、みんなが使っているのを個の目で確かめられる商品を作ることの方が遥かに楽しい。
ソフトウェアとは無関係の方法でカネを稼ぐくらいなら、今の仕事を無償で続けている方がいい。

というのがビル・ゲイツの考えで、実際に彼はMicrosoftに在籍していた晩年は給料は1ドルだったそうな。

また、ビル・ゲイツが起業家と言われた時に怒って言った言葉も引用します。

頭の中をのぞいてもらえるなら、技術のことでいっぱいになっているのがわかるはずだ

と、このように実はお金に執着しているというよりは技術を進化させていこうと努力していったうちに
億万長者になっていた、ということが紹介されています。

今までビル・ゲイツは金が大好き、という印象を持っていた方がこの本をよむと間違いなく印象が変わるでしょう。
ちなみに、ビル・ゲイツの考えなどに興味をもったら、このビル・ゲイツ自署をオススメします。 20年近く前の本ですが、この時に考えたことが今ほとんど実現できてきているので、時代の進化は速いなぁと思わされます。

ビル・ゲイツ未来を語る

ビル・ゲイツ未来を語る

ビル・ゲイツ - Wikipedia

ウォルト・ムーア

当初、優秀なグラフィック・プログラマーでグラフィックチームの中心となっていたが
度重なる仕事のプレッシャーに負け、どんどん仕事をしなくなり、最終的にはオフィスで1日中ゲームに没頭するようになる。
最終的にマイクロソフトから解雇される。

ジョアン・キャロン

NT開発でWindowsからプログラム・マネージャの開発を担当。
開発当初は夫との中も問題がなかったが、デスマーチが進むにつれ家族との時間が取れなくなり、
Microsoft内では立場を持っていくが最後には離婚する。

WindowsNTとは

当初はNT,意味はNew Technology等、サーバーOSやネットワーク管理機能やワークステーションOSとして 高い安定性を持った全く新しいOSを目指して開発されたもの。
途中でWindowsと合流し、新たにWindowsNTとして再出発する。

1993年にWindowsNT 3.1としてリリースされた。

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ちなみにWindowsNTの血脈は2016年現在のWindows10にも受け継がれている。
Windows10のカーネルNT 10.0

Microsoft Windows NT - Wikipedia

デスマーチの功罪

カトラーはもともとデスマーチでも平気で仕事をするタイプでした。
なのでそれに部下がついていった結果、開発の遅れも相まってデスマーチとなったわけです。

実際に本書の第八章のタイトルは死の行進と付けられており、
開発プロジェクト終盤の兎に角リリースに間に合わせるための開発メンバーの死に物狂いの働きがありありと書かれています。

開発メンバーはMicrosoftのストック・オプションで大金を手に入れた人ばかりですが、
豪邸を立てて、高級車を買って・・・としても寝るのは6畳半の自分のオフィスの床という人ばかりでした。

また、「離婚」というワードをよく見かけることからも、デスマーチ中の家庭生活の問題がありありとうかび、
実際に登場人物の何人かが離婚しています。

仕事と家庭、どっちが大切なのか、そう悩む人も多く出てきました。

実際に、WindowsNTというOSは時代を変えたものですが、その裏には多くの人の涙があったということは
とても強く印象に残りました。

ソフトウェア開発プロジェクトで深夜残業が続くような状況で働くべきか、そしてそれに対し会社はどうするべきか、
深く考えさせられました。

感想

正直、とても評価が別れる本だと思います。
おそらく、バブル崩壊前〜90年代なら、「素晴らしい!私も見習うべきだ!」となったかもしれません。
今の時代だと、電通の事件があったのもあって「反面教師」としての本になるかもしれません。
※離婚、うつ病、逃亡、とマイナスなこともあるので反面ではないかも。

ですが、ソフトウェア開発者はこの本と「ピープルウェア」、「人月の神話」を読んで
ソフトウェア開発プロジェクトはどうするべきか、よく考えていくべきだと思います。

ピープルウエア 第3版

ピープルウエア 第3版

人月の神話【新装版】

人月の神話【新装版】


自分は体や家族を犠牲にしてでも作りたいモノがあるのか。
それともプライベートを充実させていきたいのか。

悲しい話、ソフトウェア開発者はこの2パターンしかないかもしれません。